住宅ローンの金利

住宅ローンの変動金利の特徴!固定金利の違いと知っておきたいリスク

今や、住宅ローンの金利は1%にも満たない商品も普通に見かけるようになりました。変動金利というものを不動産会社から紹介されたり、意外に返済額が低くて、返済していけそうだと感じる人もいるでしょう。

一般的になった変動金利の特徴とデメリットを紹介します。

そもそも変動金利とは

住宅ローンの金利は、固定金利と変動金利に大きく分けられます。

固定金利は10年固定金利や、35年固定金利といった決められた期間の金利を最初に決定するものです。

変動金利は年2回見直しがあり、そのときに金利が上下する可能性があります。

借入期間中の返済額は金利が変われば利息の負担が増え、残高の減りも遅くなるという事態が起きるかもしれません。利息も含めた総支払額の確定ができず、毎月の返済額が増えてしまうリスクを負う代わりに金利が低いメリットがある金利タイプです。

フラット35のような全期間固定金利では、借り入れの時に最後までの返済計画が確定され、その通りに返済すれば住宅ローンは終わるのですが、変動金利にはその計画が未確定のまま返済していくことになります。

変動金利と固定金利は金利の決まり方が違う

変動金利と固定金利の違いの1つが、金利の決まり方の仕組みも違うということです。

変動金利は日本の政策金利の影響を受け、固定金利は10年物の国債利回りの影響を受けます。

少しむずかしい話になってしまうかもしれませんが、政策金利は日本銀行が市場における通貨の流通量を調整するものです。景気が良ければ政策金利を上げて、通貨の流通を抑制し、景気が悪ければ、金利を下げることで市場にお金が流れるようにします。

この政策金利の上げ下げに連動するのが変動金利です。今は不景気と言われるように、景気が悪い時期のため、政策金利が下げられており、連動している変動金利も低くなっているのです。

このあたりは、好景気か、不景気で変動金利は変わると覚えるといいでしょう。

反対に、10年固定金利のような固定金利タイプは、10年物国債の利回りに影響を受けます。国債は将来のインフレやデフレ、経済状況を予想して、利回りが設定されます。

どちらかというと、物価上昇や些細な市場の変化がすぐに反映されるのは、固定金利です。将来は好景気だろうという予想がされた時点で、実際は好景気になっていなくても、国債利回りは上がるという仕組みなのです。

金利が上がりそうだから変動から固定に切り替えようとしても・・

変動金利はいつでも固定金利に切り替えができますが、固定金利の期間中は他の金利へ切り替えはできません。

変動金利で借りていて金利が上がりそうだったら、固定金利に切り替えようという考え方もできます。しかし、固定金利は変動金利よりも先に上がりやすいため、上がりそうだから切り替えるといった対応だと、意外と固定金利はもう上がっていて、なんてことが起きるのです。

変動金利を選ぶ人が多い理由

変動金利は見直しで、必ず変動するわけではなく、変動しないこともあります。クローズアップされるのは、この「実は全然変動していません」という点です。

平成30年現在で、最近の変動は平成21年です。このときはリーマンショックが起こり、社会が不安定になったときで、変動金利は下がりました。

それ以前も、平成18年から平成21年の期間に小刻みに変動していますが、平成7年~平成8年にかけて3%を切って以来、3%は超えることなく現在に至っています。

変動金利という言葉からイメージ出来るようなコロコロ金利が変わってしまうという状況ではないので、選ぶ人が増えており、また危険性が少ないとされるのです。

固定金利の決まり方は先ほど説明した通りですが、将来の景気の期待感が高まっただけでも金利が上がってしまいますので、固定金利は毎月コロコロ変わります。

借りる月によって0.1%や0.2%の差が出ることは珍しくないです。実際にはあまり変わらないのなら、一番低い変動金利が良いだろうということです。

返済の負担がどう変わるか

多くの人は住宅ローンは35年、少なくとも何十年単位で借りますよね。返済期間の中で金利が変わってしまうと、どれくらい影響があるのか試算してみます。

例)3,000万円を35年間で借入

変動金利0.8%のとき、毎月の返済額81,918円(金利0.8%が35年続いたとき総返済額は34,405,447円)

借入から5年後に金利が1%、さらに借入から10年後に1.5%に上がったと想定して試算をしてみましょう。

変動金利0.8%のとき、毎月の返済額81,918円(1年目から5年目のみ)

5年経過後に金利1%に上昇:毎月の返済額84,304円
10年経過後金利1.5%に上昇:毎月の返済額89,463円

金利が2回上昇すると、総返済額は36,812,322円にもなり、金利が上昇しなかった時と比べると、利息は240万円ほど増えることになります。

ちなみにバブル期まで遡ると、民間の銀行は平成3年に8.5%の変動金利を叩き出しており、今が金利が低いだけで、もっと上がってもおかしくはないのです。

返済は進めば進むほど元金が減っているので、完済まであと少しというような返済の大半が済んでいれば、総返済額の上昇も少なくて済みます。しかし、返済が半分も終わらないうちに金利が上がってしまうと最終的には、数百万の利息が増えてしまうのです。

変動金利の5年間ルールと上限125%ルール

これは他の金利にはなく、変動金利にだけあるルールです。大半の銀行では、適用されるルールですが、新生銀行のようにこのルールがない銀行もあるので、確かめる必要があります。

基本的には、リスクがある変動金利で借りる人が急激な返済負担増のときに、返済が滞らないようにするセーフティーネットです。

5年間ルール

5年間ルールは、返済額は5年間毎に固定して、半年毎の金利が変動しても、すぐには返済額には反映されません。

返済額は変わりませんが、金利が上がった分は利息の額が増えるので、元金の返済が減ってしまいます。

半年毎にコロコロと返済額が変わってしまうと家計のやりくりがしにくいかもしれませんが、金利が上昇してるのに返済額が変わらないと、計画よりも返済が進んでいない事実に気づけません。

125%ルール

125%ルールは5年毎の返済額の見直しの際の返済額の上限です。5年間は返済額が変わらなくても、返済額の見直しのときは金利に合わせて返済額は変わります。

金利が急上昇していると、返済額が際限なく増えてしまう可能性があります。そこで出てくるのが、125%ルールです。どんなに金利が上がっていても返済額は前の返済額の125%が上限ということです。

いきなり毎月が2倍の返済額になれば、返せなくなってしまう人もいるでしょう。金利が急上昇している局面では、消費者がローン破綻を起こさないために必要なルールです。

変動金利は毎月の返済額が増えても問題ない経済力、貯蓄力が必要

金利上限に関するルールは万が一のため仕組みのではありますが、それでも支払うべき利息の上限が定められているわけではないので、当初の計画の返済が終わっても、支払いが終わらない利息である「未払い利息」が発生するリスクがあるのです。

金利が上昇すれば、貸し手(銀行)は儲かり、借り手(消費者)が損をするのです。

毎月の返済負担が増えてしまっても対応できる、経済的に余裕がある人に向いているということになります。

毎月の返済額が少ないと、もう100万円高い物件でも買えそうと思えてしまいがちです。

事実、今の変動金利の水準では、300万円借り入れが増えても、毎月にすると1万円の負担も増えません。

変動金利を選択するということは、借りすぎないことが重要といえるのです。

どこまでの金利上昇までは返済が可能か、今の金利に囚われず、長い目で計画を考える必要があります。

この記事を読んだ人におすすめ