住宅ローンの基礎知識

元金均等返済と元利均等返済の違いは?どちらがお得なの?

元金均等返済と元利均等返済の違いを解説

元利均等返済と元金均等返済の違いはご存知ですか?金利の差で総返済額に差が出るのは誰でも分かることですが、選んだ返済方法でも差が出ます。同じ期間の同じ金額の借り入れでも、返済方法で差が出る例をご紹介します。

元金均等返済方法は利息が少なくて済む

元利均等返済と比べて、どちらがお得ですか?という疑問であれば、元金均等返済の方が利息の支払いは少なくてすみます。

ただし、これは毎月の返済予定通りに、繰上げ返済をしなかった場合なので、繰上げ返済をすれば、利息の削減効果があるので、損得は変わってきます。

さて、元金均等返済の仕組みですが、簡単に言うと最初から最後まで元金の支払い額が同じになります。

元金の上に乗ってくる利息は、残高によって変わってくるので、残高の多い最初は利息が多く、返済の終わり頃は利息が少なくなります。

元金+利息が毎月の返済額になるのですから、元金均等返済では最初の返済額が最も高くなります。

その後、残高の減少に合わせて利息が徐々に減るため、元金は一定のまま、利息分の返済額がどんどん少なくなっていきます。

元金の減りが早く、利息が少なくて済むのが特徴です。

元金均等返済の支払い例でみてみましょう。

例)3,000万円を35年で元金均等返済の金利1%で借りたとき(420回払い)
1回目 返済額96,428円(元金分71,428円・利息分25,000円)
2回目 返済額96,368円(元金分71,428円・利息分24,940円)
3回目 返済額96,308円(元金分71,428円・利息分24,880円)

元金が一定で、残高が減った分は少しずつ利息が減り、毎月の返済額が減っています。数回では差が微々たるものに見えますが、12か月×35年で420回では大きな差になります。また、一定部分の元金は最後まで変わりません。

最終返済間近では、ほとんどがこの変わらない元金部分の返済になるので、返済額が少ないのです。その証拠に、最後は下記のようになります。

419回目 返済額71,547円(元金分71,428円・利息分119円)

最初は大変だが後半は楽、これが元金均等返済です。

元金均等返済は審査が厳しい

元利均等返済よりも、利息は少なくて済むのが大きなメリットですが、実際には多くの人が元利均等返済で借ります。

元金均等返済は審査が厳しいためです。

元利均等返済に比べて、同じ金額・同じ期間の借り入れでも、元金均等返済にすることで、最初は支払額が高くなります。

後半の返済は、最初は多い分は楽にはなるのですが、当初の返済額の高さから住宅ローンの審査が元利均等返済に比べると厳しくなります。

ただ、元金均等返済では利息以外のメリットがあり、借入時にかかる保証料が元利均等返済よりも少し安くなります。

三菱東京UFJ銀行では、元利均等返済の保証料が35年返済で100万円あた20,612円なのに比べて、元金均等返済だと16,366円になります。

3,000万円の借入なら12万円以上、元金均等返済にすると保証料が安くすみます。

受付している銀行が少ない

元利均等返済はどこでも取り扱いがあるのに比べると、元金均等返済は取り扱い銀行が限られます。

地方銀行などは、元利均等返済のみとなっていることが多く、メガバンクではどちらの返済方法でも選べることがあります。

元金均等返済にこだわるなら、銀行選びの際から確認が必要です。

銀行にとっても、利息を多く払ってくれる元利均等返済の方が嬉しいでしょうし、需要がないので取り扱わないということも言えます。

使いたい銀行で返済方法が選べるのか調べるためには、住宅ローンの商品概要の返済方法の欄をご確認ください。

元金均等返済を選ぶ人は、年収に対して借り入れに余裕があったり、借入額が少なく、元利均等返済の時との差である当初の数万円の負担増がクリアできる人です。

不動産会社や銀行で住宅ローンの試算をしてほしいと言うと、元利均等返済でまずは提案されるのが一般的なので、元金均等返済で出して欲しい時は一言添えましょう。

元利均等返済は完済まで一定額を払い続ける方法

元利均等返済は、毎月の返済額(元金+利息)が最初から最後まで一定で、住宅ローンを利用する多くの人が選択する返済方法です。

残高多ければ利息が多いので、毎月の返済額は変わってなくても、最初の頃は、利息の割合が高くなっています。

つまり、最初は返済額の多くが利息であるとも言えます。

返済が進んでも毎月の返済額は目に見えて変わりませんが、内訳として利息を支払う割合が減っています。

実際には、金利の変化によって返済額が変わることはあり得ますが、仕組みとしては、元金と利息をまとめた返済額が一定です。

元利均等返済の例を見てみましょう。

例)3,000万円を35年で元利均等返済の金利1%で借りたとき(420回払い)
1回目 返済額84,685円(元金分59,685円・利息分25,000円)
2回目 返済額84,685円(元金分59,735円・利息分24,950円)

毎月の返済額は変わっていませんが、利息分が1回目の方が少しだけ多く、終わり間近には下記のようになります。

419回目 返済額84,685円(元金分84,544円・利息分141円)

初回は3割ほどが利息で消えているのが分かります。

最初と最後の返済額は変わりませんが、内訳が全く違います。

元金均等返済よりも月々の返済額が少なく済む

先ほどの元金均等返済の例と比べると、1回目の返済額に差が出ているのが分かりますね。

元金均等返済96,428円、元利均等返済84,685円で、その差は約11,000円です。

これは一例で、これよりも借入額や金利が上がれば差がどんどん増えます。

この差が二つの返済方法の違いです。

元利均等返済はなぜ多くの人が選ぶのか

元利均等返済を選ぶ人が多い理由の1つとして、毎月の返済額が一定で家計の管理がしやすいことが挙げられます。

また、元金均等返済に比べると、最初の返済額が数万円安いため、住宅ローンのハードルが下がるのも選ばれる理由の1つです。

また、銀行はどこでも取り扱いがあるので、自分にあった金利や商品がある銀行を選ぶことができます。

元利均等返済のデメリットは繰上げ返済でカバーする

単純な計算では、元金均等返済よりも利息は多く払うことになります。

しかしながら、繰上げ返済をすれば利息の削減効果があるので、元利均等返済でも工夫次第では、デメリットのカバーもできます。

先ほどの例のように、月1万円の差があると、年間でいっても10万円以上の差になります。

その差を繰り上げ返済に回して計画的に元金を減らす方法もありますよね。

元利均等返済では、最初は特に多くの利息を払っているので、早めの繰上げ返済の方がより利息が削減できます。

元金均等返済の月々の支払いが元利均等返済よりも低くなるのはいつ?

元利均等返済は最初の支払いは少ないが、最後まで返済額は変わりませんが、元金均等返済は、最初の返済額が多いですが、返済を続けることで元金自体が減ってくるので、徐々に1度の返済額も少なくなってきます。

そのため、元金均等返済の返済額も途中で、元利均等返済の返済額を下回るポイントがあります。

例)3,000万円を35年で金利1%の住宅ローンを契約(いずれも199回目の金額)
元金均等返済
月々の返済額
84,642円
元利均等返済
月々の返済額
84,685円

返済が始まって、17年目で逆転します。35年返済の例なので、全体の半分の返済が終わると逆転できるようです。

総返済額では、元金均等返済で利息分が5,262,332円、元利均等返済で5,567,804円になり、利息が元金均等返済を選んだことで、約30万円少なくなります。

すぐに毎月の返済では効果が見えにくいですが、返済方法の選び方によっては、利息の削減に確かに効果がありそうです。

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